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セッションのwesttribeのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.5
ここしばらくで一番期待していた映画。
filmarksのオンライン試写会で鑑賞。
素晴らしい企画をありがとうございました。

期待を裏切らぬ、情熱と狂気の音楽映画でした。
若手ドラマーが音楽院で鬼教官にしごかれるお話。
アカデミー助演男優賞、J・K・シモンズの鬼教官ぶりはそれはそれは凄まじく。
星一徹も真っ青。しかし、現代でこの指導法はホントに許されるのかね、と思ってたら、
脚本はそのへんもしっかりおさえていました。

鬼教官は厳しい一辺倒ではなく、時には優しかったり、弱さを見せたりする。
どこまでが(劇中的に)演技で、どこからが本心なのか、観ていてもわからない。
それが恐ろしくて、面白くて、目が離せない。

若手ドラマーも、最初は成功を夢見て、ガールフレンドをゲットして…というよくあるタイプの主人公だったのが、どんどん目つきが変わって、いろんなものを失っていく。

よくあるサクセス・ストーリーではない。
そもそもハッピー・エンドとも言い切れないし、
新たな悲劇の始まりかもしれない。
ラスト9分の鬼気迫るパフォーマンスが残すものは、
余韻というにはあまりにも熱量の高い何かだ。

『はじまりのうた』とはまったく違うタイプの音楽映画ですが、いずれも傑作。
演奏シーンの迫力は言わずもがな。ぜひ劇場でもう一度観たい。

ところで、楽譜がなくなったのは偶然だったのだろうか。
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