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セッションのmocomocoのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.8
映画を見る前、スポ根の音楽版?サスペンス?人間ドラマ?とどんなジャンルかと想いを馳せていたが、見終わってみると、これはジャンルでくくれるものではなく、映画の枠さえ超えていることに驚いている。

J.K.シモンズ演じる鬼教師フレッチャーの本当の顔とは?まるでサスペンスを見ているかのような緊張感。あまりの厳しい指導に、見ているこちらまで心の中で正確にリズムを刻むことを強いられる。この映画ではパワハラなんて言葉は一切通用しない。
狂気ともいえる熱血指導ぶりは、裏を返せば厳しいプロの世界の中でもさらにトップへのし上がれるアーティストを育てたいという激しい情熱。音楽に対する情熱という共通点があるからこそ、一流ドラマーを目指す学生ニーマンもフレッチャーへの反抗心を持ちながらも、完全には憎みきれなかったのだろう。

そして、最後にニーマンの強い信念に心を打たれる。この高みを極めた者同士が音楽を通して理解し合う。音楽の持つ雄弁な表現力をこの映画では巧みに見せてくれる。この衝撃は今までにない、映画の枠を超えた新しい感覚をも体験させてくれる。

終わった後、鳥肌が立ち、しばらく立ち上がれなかった。周りの人たちもエンドクレジットが終わるまで同じように席を立たなかった。まるでライブにでも行ったかのような一体感を覚えた。音楽を存分に堪能するためにも、緊張感を高めるためにも映画館での鑑賞をおすすめします。
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