たこす丼

セッションのたこす丼のレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
2.4
18Apr2015 TOHOシネマズ新宿

結局この映画をいいと思えたか否か、というのは「ラスト9分間」でカタルシスを得たか否か、ということなのではないだろうか。私は得られなかった方の人間だった。当然ながら、人はそれぞれ感性が異なるものだし、背景も違う。何がその人のカタルシスにあたるかも一人一人異なる。私には、あのラストをカタルシスとして享受するには、主人公が音楽を復讐の武器として用いるのではなく救いとして昇華させることが不可欠であると思った。あの血の滲む、否飛び散る練習を経て彼が最後に得たものが音楽の祝福ではなく、自分を傷付け貶め辱めた相手への復讐の達成になってしまうのならば、私は悲しい。音楽はそういうものではない、と主張したくなる。町山智浩氏によれば、この映画は監督自身がジャズドラマーを志し挫折した経験を基にしているという。それならば、この映画が最後に大仰なドラムソロを通して私に伝えたものは音楽の祝福などでは無く、監督が抱き続けた挫折の悔しさを振り払う為の呪術であり、自らを苦しめてきた音楽への復讐である。そして私は監督が復讐を通して悪夢から醒めることを切に願うのである。
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