きよみず

セッションのきよみずのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.3
#100-2015
期待を裏切らない、狂演×怪演=大傑作だった。もう見終わったあとじわりじわりとまだ興奮が冷めていない。

教育には飴と鞭なんて言う人もいるけど、この映画は鞭、鞭、鞭、鞭、まさにwhiplashしかないのである。

ジャズの映画でしょ、師弟愛のお話でしょ、結局は美談でしょなんて思ってる方、いやいや、ジャズとかもう関係ない、そこにあるのは生徒と教師の闘いだけ。

名門音楽大学に入学し、鬼教師フレッチャーに見出されるアンドリュー。フレッチャーに目をつけてもらえば勝ち組なので喜ぶアンドリューがまた可愛い。
有頂天のアンドリューは単純なので、彼の楽団に誘われ、気になってる女の子にデートに誘う。フレッチャーに認められたと思ったとき、またその逆の時も然り、ガールフレンドへの関わり方にすぐ影響してしまう。その点、恋愛シーンが面白く効いていた。

では、その怖いフレッチャーはというと、上手いこと家庭環境などを聞き出しそれをネタに口撃、放送禁止用語で精神的に責め立てるサイコパス野郎。
個人的に1番怖さが出ていたのはバンドの初練習のとき。9時ジャストに入室、生徒は起立し直立不動、目も合わさない。彼の怖さがわかりやすく、かつ、はっきりと伝わってきた。それと無駄に強調される腕の筋肉(笑)。
楽団の生徒以外には普通の関わりだったり、悲しみなど人間らしい感情も見せるのだけど、今まで見たことないようなドヤ顔で最後にノリノリで指揮する彼の姿はあかん、あそこでにやにや止まらなかった。

馴染みがあるっていうのは変な言い方だけど、"good job"で済ませてしまっていればラストシーンのカタルシスはなかっただろう。
潰し合いがさらにエスカレートした最後20分の展開、そしてラスト9分19秒は半笑いで見るしかないくらい圧倒された。

監督の実体験が元になったというが、やはりサイコパス的なスパルタでしかたどり着けない領域っていうのは絶対存在するのだ。それを分かっているから、監督はああやってラストに持っていったと思うし、アンドリューのある行動にも反映させたのだろう。

とにかくこれは劇場で見なきゃいけない映画だし、斜め前で最後いびきかいて寝てたオッさんにフレッチャー並みのビンタをくらわせたい。
きよみず

きよみず