赤いタンバリン

セッションの赤いタンバリンのネタバレレビュー・内容・結末

セッション(2014年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

まず言い切ります。
この映画には音楽ならではの感動は無いと。
ですので音楽映画と観るか否かでリアリティラインの置き場所が変わってくるのではないかと思います。

この映画における音楽観は非常に禁欲的であり、排他的であるにも関わらず、天才は不在といった感じでしょうか。
例えば、ジャージーボーイズやはじまりのうたといった近年の傑作音楽映画には、音楽をプレイする幸福感、そして音楽でしか表現できない全能感がありました。
更には、バードマンやシェフといった音楽をメインのテーマにはしていない映画にも、音楽の素晴らしさは内包されています。

結果としてこの映画の音楽シーン、特に最大のハイライトであり、クライマックスでもある最後のセッションにおいても、物語の主役二人の感情の激しいぶつかり合いの末、一線を越え気持ちが一つになる瞬間のカタルシス、その時でさえドラムの激しいビートは音楽では無く、ドーパミンを生むための装置としての役割の方が大きく思えました。

と、ここまで否定的な文章でしたが、映画としてはとても楽しめました。
ラストシーンも前評判通り見応えのあるものでしたし、一本の映画としても緊張感があり退屈感もなく、観応えのある映画でした。

ただ音楽映画として観てしまったので-0.5点といった感じです。