尿道流れ者

セッションの尿道流れ者のレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.0
とても病的な映画。2人の患い者が出会って、激しくぶつかる。病院で病気自慢ないし、飲んでる薬の量自慢をするお婆さんの会話が、急にラップバトルに移行したかのような、アナーキーでグルービーかつ病的な恐ろしさを含んだ化学反応を叩きつけてくる。

音楽面に関しては、本当にニューヨークで最高の音楽学校かって位お粗末な技術に思える学生達が主な登場人物なので大きな音楽的興奮はない。しかし、その主人公と教授が辿る、穿った、病的な音楽観から滲み出るスポ根系の、しかも感動的要素を抜いて、汗と血と涙と血と、あと血を足したような映像から香る臭さが凄く良い。

認められたいという気持ちがここまで病的に形を成したという点では、最後の数分間の2人だけの時間にはまさに鳥肌が立つような特別な病の印がある。こんなもんじゃないだろうし、そういうことではないジャズの教育がなすありえないコミュニケーションには興奮と恐ろしさがある。

若干のいなたさの感じる演出には辟易としながらも、音楽にある痛みを激しく優雅に表した映画。これが女同士で、汗と血とおしっこを交えながらの映画ならもっと興奮したかもしれない。ソフトオンデマンドに期待するしかないか。