キヨ

ランダム 存在の確率のキヨのレビュー・感想・評価

ランダム 存在の確率(2013年製作の映画)
4.0
〈2015/2/3 ヒューマントラストシネマ渋谷〉
未体験ゾーンの映画たち2015観賞1本目

「ここ数年で1番面白いSF映画」とチラシに書いてあったので、気になって観に行ったらとてもいい掘り出し物だった。あの「シュレーディンガーの猫」をモチーフにした、思考実験スリラー。

不穏感で滲ませる冒頭の会話劇といい、テンポよく進んでいく。事件が起こってからも、読めない展開が続き、謎が開示されるごとに「あれ、じゃああの時すでに…」と前のシーンについて思いを巡らせることになる。こういうスリラーにありがちな、長々と登場人物に語らせて謎を開示するのではなく、登場人物の混乱と焦りの言葉といったところで、謎と伏線をそれとなく開示してくのはほんとに脚本が良くできてると思う。そのため、頭を使う系にも拘らず、ジェットコースタームービーのように最後まで流れるように話が進む。

アイデアとしてはいわゆるパラレルワールド物だけど、それをクローズドサークルのスリラーにしているのは珍しい気もする。それを生かしたアイデアも満載。特に張り紙や車関連の伏線はとても面白かった。ラストも中々捻ったものだけど、そもそも上映時間が短いので、最後のシークエンスだけでももう10分長く描いたほうがしっくり終わったような気もする。

見てみてなんとなく「プライマー」を思わせる、静かながら頭を混乱させてくれるSFスリラー。「ソウ」とかのシチュエーションスリラーが好きな人にもおすすめです。
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