Aix

ペイル・コクーンのAixのレビュー・感想・評価

ペイル・コクーン(2005年製作の映画)
3.6
アイの歌声を聴かせてやイヴの時間などで知られる吉浦康裕初の商業作品。海や大地が姿を消した世界で記録の発掘と復元をする男の話。

水のコトバがイヴの時間の原点だったのに対して今作はサカサマのパテマに近いタイプの作品でした。個人制作もののアニメですが、CGはチープなのを含めて世界観の確立に貢献していたし、ディストピアっぽい雰囲気や建物のルックはとても良かったです。湯浅政明とか新海誠とはまた違った意味で、吉浦康裕の作品にはビジュアル面に魅力があると思います。

世界観に浸っていたくなるのが今作の強みな一方で、物語は後半にかけてごちゃごちゃしたような印象を受けました。オチとかやろうとしていることは理解出来るし、良いとは思うんだけど、もう少しシンプルに脚本をまとめても良かった気がします。今作は他の吉浦康裕作品と同じく歌のシーンがあったけど、そこまで必要性が感じられなかったです。イヴの時間のように音楽が脚本と密接に携わっているなら別ですが、今作の場合は歌のシーンがなくても成り立ったと思います。でもまあ色々書いたけど、この監督の作品は他のアニメにはない独特な雰囲気があるのでとても好きだし、今後もチェックしていきたいです。

話によると新海誠のほしのこえから影響を受けて今作は作られたんだとか。今作よりもほしのこえの方が良く出来てはいるけど、アニメーションの勉強がしたい人や、SF系の作品が好きな人にはオススメ出来る一本です。
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