レオン

吹けよ春風のレオンのレビュー・感想・評価

吹けよ春風(1953年製作の映画)
3.9
見逃していた黒澤明作品。(脚本のみで監督は他者)
この作品を見れば、黒沢さんは優れた監督以前に、卓越した脚本家だった事が分かる。

三船敏郎さんがタクシーの運転手として、乗客との8つのエピソードがこの作品の物語。
カップルの抱擁、初めて車に乗る10人以上の子供達、
元料理人の老夫婦、家出娘、泥酔二人組、人気タレント、ある事件、帰省軍人。
ある事件以外は、特別変わった出来事ではないが、黒沢さんの人物描写により、登場人物の心境が手に取るように伝わり、見る者を飽きさせず、心を温めてくれる様なパートが多い。

三船さんは、照れ笑いするシーン等、他の役者がするとややオーバーアクトに思えるほど表情が変化するが、この人が演じると、そういう人物(タクシー運転手)なのだ、と違和感なく見えてしまうところが、三船さんのスゴイところかもしれない・・・。

黒沢さんの脚本のみの作品としては、佳作以上に感じる作品。 両者のファンなら必見です。
レオン

レオン