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赤い唇/闇の乙女のbennoのレビュー・感想・評価

赤い唇/闇の乙女(1971年製作の映画)
3.8
デルフィーヌ・セイリグお目当てです…ෆ*

画面に散りばめられた赤…美しいエロスと猟奇的な吸血奇譚…。

舞台はベルギーのリゾート地オステンドのホテル…。新婚カップルのステファンとヴァレリーは列車の事故により、ホテルに宿泊することを余儀なくされます…。

ふたりはステファンの実家に向かう途中でしたが…どこか関係はぎこちなく…ステファンは足取りが重たそう…。

その夜、そのホテルに妖艶なエリザベート・バートリー伯爵夫人(デルフィーヌ・セイリグ)と彼女の秘書でキュートなイローナのふたりがやって来ます…。

エリザベートを迎えたコンシェルジュのピエールは40年前、彼女に接したことがあり…その風貌が全く変わっていないことに驚愕します…。

そしてエリザベートは新婚カップルに興味を示し、彼らの関係に介入していきます…。

16世紀に実在したとされる『吸血鬼』バートリー夫人の末裔だと名乗るエリザベート…彼女は一体何者なのか…?? 何が狙いなのか…??


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今作は特に視覚的に訴える作品…エリザベートとイローナの真っ赤な口紅、マニキュア、ストール、ランプシェードに被せる真っ赤なスカーフ…あらゆるところに赤を強調…。

妖しさを誘うフランソワ・ド・ルーべの音楽も緊張感を高めます…。

また、映像美の大半は往年のディートリッヒイズムを継承する細眉のドイツ美女…デルフィーヌ…彼女のセクシーな声も堪りません…チュール付きの帽子が世界一似合います…。

少し幼さも見えるボブヘアーのイローナは蠱惑的な魅力でデルフィーヌとの対比も絶妙…ふたりのレズビアン臭もプンプン…。

そして視覚的衝撃に満ちた衣装…蝋燭の灯りと銀色のドレスの光芒が十字の形に伸びて眩ゆい…ファスビンダー 監督の『ベロニカ・フォスのあこがれ』の映像を彷彿とさせます…。

エンドロールのクレジット…衣装とヘアメイクがとっても長〰︎いっ笑…。

魅力的な女優がいて、その女優が更に魅力的に撮られる…それだけでも十分な気持ちにさせます…。

今作は吸血鬼ものですが…即物的モンスターとは違い牙もなくほぼ人間と変わりませんが、どこか違和感…匂わせや仄めかしが多く、少し放ったらかしの部分はありますが…余りある映像世界…。

また、ステファンの存在も謎…母親に電話をするシーン…電話に出たのは明らかにお化粧バッチリの不気味でキモい男性…えっ?? お母様(๑•̌.•̑๑)ˀ̣ˀ̣

そしてラストは衝撃的!! …真っ赤です!! …。
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