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SAINT LAURENT/サンローランのpikaのレビュー・感想・評価

SAINT LAURENT/サンローラン(2014年製作の映画)
5.0
「ハウス・オブ・グッチ」を見たのと、ギャスパー・ウリエルの訃報を受け、たまらなくなり再鑑賞。意外にも前回見たときから5年も経ってた!
ボネロはそこまで好きな作風ではないんだけど、これはどこを切り取っても凄く好きでツボに刺さりまくる。さすがに2回目となると中だるみして、ちょっと長さを感じる部分はあったけど、クライマックスとエンディングがそういった不満を全部キレイに吹っ飛ばしてしまう。最後のコレクションが本当に素晴らしい。その直前、落ちるところまで落ちてしまい、病室のベッドで、ってところからの流れも至高。画面分割は苦手なんだけど、この映画だけは分割してこそ、その前後の一枚画が映えると言わんばかりに効果的で凄く好き。ベタだけど死の間際の画面の挿入もいい。

画面外を意識させるカメラがいい。素っ頓狂にジャンプする演出も好き。退廃を描きながら画面はずっと白く赤く、明るい。暗闇の庭みたいなところがいい意味で浮いてる。ヴィスコンティよりもアントニオーニ。両者程の完璧さがなく、未完成なところにギャスパー・ウリエルが存在していることが映えていて、意図通りなのか何なのか凄味がある。ギャスパー・ウリエルじゃなきゃ成立しない、妖艶な魅力。

ヘルムート・バーガーが、ギャスパー・ウリエルの演技と地続きの演技をしていて、所作や喋り方がとても自然で同一人物が年齢を経た説得力がある。イヴ・サンローラン本物の動いている姿を知らないので、二人がイヴ・サンローランを真似して演じてるのかもしれないけど。

サンローランのミューズを演じたレア・セドゥとエメリーヌ・ヴァラーデも凄く良くて、出てくるだけで映画の魅力を底上げしている。
ただ、やっぱ2回目見てもこのルイ・ガレルだけはいただけない。あの口ひげと白スーツとニヤケ顔。。あまり喋らないのもあって記号的で漫画のキャラみたいに見える笑。

【1回目】2017/2/24
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