かわさき

神様なんかくそくらえのかわさきのレビュー・感想・評価

神様なんかくそくらえ(2014年製作の映画)
3.0

 現在公開中の『グッド・タイム』が素晴らしすぎたので、その周辺も観ておく。というか、観直す。

 本作『神様なんかくそくらえ』は、『グッド・タイム』の監督であるジョシュア&ベニー・サフディ兄弟が2014年の東京国際映画祭でグランプリ、並びに観客賞を受賞した作品である。このたび、二度目の鑑賞。

 いくら『グッド・タイム』が名作でも、やはり私のこの映画に対する感想は覆らず、終始共感できないままエンディングを迎えることに。日本で一番大きな映画祭で観客賞を受賞したぐらいだから、本作に共感できない私が少数派なのだろう。それを踏まえたうえで。

 「あなた以外は全部ゴミ」というキャッチコピーが実に秀逸で、この映画を端的に言い当てている。その刹那主義をニューヨークの路上という「底辺オブ底辺」で語るのだから、舞台設定としても申し分ない。だがしかし、私は「勝手にやってくれ」としか思えなかった。感想なんて「アリエル・ピンクの音楽、いいっすね」ぐらいのもんである。何というか、他人事だったんですよね。どこか遠い世界の話。私も育ちが悪いほうなので、むしろ相対的に人よりも「底辺」ってヤツを知っているつもりだ。だからこの映画に出てくる人間は同族と言えば同族なのである。けれども彼らのことを理解できなかった。境遇が似ているにも関わらず合わなかったのだから、信じる宗教が違うと言わざるをえない。

 たとえ宗教が違っていても、さも自分事のように解釈してしまう映画がある。アキ・カウリスマキやダルデンヌ兄弟の作品なんかは好例だ。画面越しに恐怖や絶望をリアルに感じてしまう。その迫力は、『神様なんかくそくらえ』にはなかった。
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