umisodachi

アバター:ウェイ・オブ・ウォーターのumisodachiのレビュー・感想・評価

4.1


前作から10年以上の時を経た続編。ジェームズ・キャメロン監督作品。


前作で惑星パンドラの住人となった元海兵隊員のジェイク。パンドラで家族をつくり幸せに暮らしていたところ、再び人類が襲ってくる。森を離れて海の民の元に身を寄せたジェイク一家だったが……。

13年前に観た1作目は、3Dの奥行のある映像には感銘を受けたもののストーリーが気に入らなかった。ナイーブな帝国主義(自己)批判、異星なのに既視感があるエキゾチシズム、そして最終的に「お前がリーダーになるんかい!」というハリウッド映画感に思い切りシラケてしまい、ゲンナリして劇場を後にした記憶がある。

今回の続編については1作目のようなガッカリ感はなく、けっこう多層的に練られたストーリーが面白かった。家族の物語であることはもちろん、ジェイクが家父長的な態度(有害な男性性)に囚われていたり、色々な対比における差別が描かれていたり(彼らは被差別者にも、差別をする当事者にもなる)、「父と子」という関係性を多重的に展開していたりと、かなり複雑に要素を絡み合わせていた。

そんな中で「人間はアホ」という部分だけは徹底されているわけだが、1作目のナイーブな帝国主義批判よりももっと単純化された「害悪でしかない侵略者」という図式に加えて、「単に個人的復讐を図るおじさん」という敵が立ちはだかる。結局パンドラのリーダーになっちゃった前作とは違い、人間を徹底的に無能に描く意志が感じられたのは潔くて良かったと思う。ジェイクの行動も迷惑極まりないなあという感じだったが、そこもやはりジェイクが人間だからゆえの愚かさが原因になっていたりもして、納得はできたかな。今後の展開に残した謎の部分もほどよく散りばめられていて、バランスも良かったと思う。

そしてなによりも映像ね!やっぱり。海パートになってからの映像のクオリティがすさまじい。もうね、水族館。信じられないくらい綺麗。ナヴィの表情もグッと豊かになっているので、違和感は本当にない。(あ、私の目には区別がつかないキャラクターが1組だけいたけど)

それにしても、他の生物について「殺しは絶対的なタブー」って強調した直後に、人間もナヴィもマシンガンを手に取って殺し合いを繰り広げるのには唖然としちゃった(わざとだろうけれど)。人間=悪だけど賢くて力がある、ナヴィ=善だけれど人間に比べると色々な面で弱い、みたいな図式になってしまっていた1作目よりは、人間はもちろんナヴィにも割り切れない理不尽な感情がある、としっかり提示した今回の方が好き。とはいえ、ツッコミどころは多いけどね!あと、映画館で観ないとあんまり意味がない作品な気がするので映画館でぜひ。

あ、最後に。終盤に「Son,」ってセリフが出てくるんだけど、あれを「お前」って字幕にしてたの、本当に意図がわからなすぎて「は?」って言いそうになりました。





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