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アバター:ウェイ・オブ・ウォーターのMoviePANDAのレビュー・感想・評価

4.0
『 守るべきもの 』

正気の沙汰じゃない損益分岐点。結果論だから語れるけど、あの「タイタニック」も「アバター」も当時興行的にヤバいのでは?と言われていた。そして、今回。今度こそさすがに厳しいのでは?それが蓋を開ければ公開後たった3週で「トップガン マーヴェリック」越え!「アベンジャーズ」の興収をも越え、既に全世界興収第9位!スゴすぎだろ、キャメロン...

多くの方がそうである様に多くのジェームズ・キャメロン作品を面白いと思ってる。ただ、1作目の「アバター」を観た時、良くも悪くも王道なその作りにそんなにハマらなかった。だから、劇場鑑賞以降観る事もなかった。あまりに先送りになる公開スケジュール。世界も自分同様思い入れがないのでは?そう思ってたのに、近づくにつれ観たくなってくる不思議。予告を観たら「やっぱり観たい!」と思わされる不思議。

「あっ、そうだ!」
その程度の思い入れながら、3枚組の前作Blu-rayはちゃっかりコレクションしてた自分。この時ばかりはこう思った。
「さすがだわ、オレ」と...w

予告を観るに、続編は家族の物語の模様。
前作との間でボクも親になっていた。
「家族で観たい」
娘とふたりの日、何気なく観始めたら面白いらしく一気に観終わった。続編も観たいと言う。そして、前作の時は興味のかけらもなさそうだった妻。何と、続編を観たいらしい。
「じゃあ、前作観ないとね」
本当は公開日にひとりで観に行くはずだった。しかし、これはうれしい誤算。
家族で観る方が“イイ”に決まってる!
奥さんと家で1作目を観た直後、改めて観た続編の予告。「パンドラは待っていた」という言葉に思わず涙が溢れた。

そして大晦日。
席を開けずに観れる様になった喜びひとしおの約3時間。心配していたトイレは、途中家族誰一人行く事無く済んだ。そこで描かれる物語。確かにとんでもないスケールと世界観。体験や没入という言葉が先行し、映像だけの映画って思われてる?決してそんな事はない。世界基準。言いかえれば多くの人に愛され、認められるか。そして、今回の続編は様々な意味合いでその基準を満たしている。但し、そこにはそれに伴う弱さも込みで。コンプライアンスに限らずLGBTQや人種、環境、国際問題。そのすべてに目配せしつつ、自らの主張もよくまあ盛り込めるなとそこは感心。そんな事言いつつも、最終的に感動させられるのはこの作品には家族という描きたい柱がしっかりある事。人間の出演比率が減った事により、見分けに不安になる登場キャラ達でしたが、ちゃんとキャラ立ちしてるので我が家的には全く問題なく見分けがつき、しっかり“物語に”没入出来ました!

㊗損益分岐点突破確実!
今作で既に世代交代に片足突っ込んでる感ありですが、今後果たして一体どうなって行くのか?しっかりその辺も楽しみにさせつつ、今作を単なる通過点にはしないさせない流石のジェームズ・キャメロン!対空戦という点でのスピード感等前作のクライマックスを超えられるのか?と危惧していたものの、そこは遥かに凌駕してきましたね。しかもさらに尺が長くなっている分、驚くべきボリューム満点のクライマックスだったと思います。思わず顔がにやけてしまいそうになるセルフオマージュもありましたしねw まさにグローバルスタンダードを背負って立つ職人の凄みをまじまじと見せつけられました!

トゥクが窮地に陥る場面。
気付くと隣でスクリーンを見つめるトゥクと同い年の娘の手を握っていた。他の追随を許さない極上エンタメとして成立させつつ、守るべきものについてもしっかり考えさせられる。家族を想い、涙した時点で「また、キャメロンにやられた〜!」と思わされる喜び。それを世界が証明している時点でこの作品は成功と言えるのではないでしょうか。

個人的MVPはシガニー・ウィーバー!14歳のキリなのに、どっからどう見ても最高にシガニー・ウィーバーだった!そこにも泣かされた!そして、すっかり廃れたと思ってた3Dで観たいと思わされ、みんなを劇場に向かわせるジェームズ・キャメロン。そしてもう一人名を挙げるならトム・クルーズ。配信全盛の中、あんた達は本当に偉い!
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