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アバター:ウェイ・オブ・ウォーターのNowLoadingのレビュー・感想・評価

4.2
 本日の一本。新宿にもついにドルビーシネマが。有難い。

 作品中ほんの数カットだけ出てくるアバター1の映像が出てくる。確かスカイ・ピープルを追放するときと息子ネテヤムの誕生の時。この3秒程の映像の違いでこの映画の技術的偉業をこの目で確かめることができる。アバターの続編なんぞ作ってると知ったときはできんのかあれ?と思うが本当に作っていた。

 即ち、高精細の向こう側を3Dのスクリーンという箱の外側を見せつつ、それを映画では見たことがないヌルヌルのフレームレートで見せつける。これはゲームなのか?一昔前にアンチャとかでゲーム映画みたいだとか、ゲームは映画を超えられるかみたいな話があったが、この映画はゲームの土俵に正々堂々と正面からぶつかり、そして押し倒す。こんな映画は今までにない。

 トップガンが古き良き映画の到達点を見出したのなら本作は新しき映画の極地を見せてくれる。よって技術面をみると本作は満点そのものである。

 世界観、ストーリー。王道一直線は今作も健在で、丁寧に描いているからこその感情移入の自然さが惑星パンドラを観客の故郷へと変えていくさまが素晴らしい。家族の絆をテーマにしたことで主人公はジェイクだけではなくサリー家と大きくスケールアップした。複雑な家庭環境が彼らの過酷さを後押ししてくれる。

 とにかく素晴らしさが圧倒的なので観ている時は素直に楽しめたが、マイナスポイントがないわけではない。特にスパイダーの扱いは微妙であった。中途半端な存在が後の作品のキーマンになるのかもしれないが今作では彼の独特過ぎる立場は混乱すること間違いなし。ジェイクの考えというか、やってることは間違ってないがどんどんドツボにはまっていくのは見ていて辛い。巻き込まれる家族はもっと辛いだろう。一つ一つの選択で全てバッドチョイスを選ぶのが中盤まででわかってしまうからかも。(死にゆく地球にコスモクリーナーなんてものもなく、彼らは死ぬ気でパンドラに侵略しに来る訳で逃げても立ち向かわなければならないことを知る話であった。)

 ここまでの作品である以上、ファミリーにも売り込んで行きたいからか、色んなパンドラの表情を見せたくなるのはわかる。しかし、長過ぎる!3時間半とかは正気の沙汰ではないよ!「RRR」みたいにアップダウンを細かく描いてくれれば話が進んでいるのがわかるんだけど、今作はフィニッシュラインが全く予測出来ない。どこまでいけば大佐とジェイクは戦ってくれるのかがわからない!

 云わば、お寿司屋さんで最高級の光り物だけをを3時間食べるようなものか。もっとこう、マグロとかホタテとかないんですか?と聞いてもきっと扱ってないんだわ、と言いそうだ。美味いことに違いないが、それしかないなら飽きるだろ。ワンシーンワンシーンで映画一本作れるカネを遣っているだけに、あの映像をノンストップで観るとアタマが疲れる。お腹いっぱいなのだ。

 タイタニックやらターミネーターやらジェームズキャメロンのキャリアの全てこの一作に収めた狂気的偉業。彼を知らないなら消化不良待ったなしだが、キチンと彼の作品を追いかけた人ならば、彼の偉大さに改めて気付かされることに違いない。
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