ヤマ

劇場版 BiSキャノンボール2014のヤマのレビュー・感想・評価

4.7
※完全版のレビューとして再投稿

アイドルとドキュメンタリーの組み合わせはやはり面白い。
内容は解散ライブ前日のアイドルたちを騙し討ちしてハ◯撮りしようとするという人を人とも思わないモノなので、特にアイドルファンは受け入れられないかもしれない。
ですが、あくまでもAV監督のドキュメンタリーであった劇場版を、完全版ではBiSのドキュメンタリーとして仕上げてきた。これが本当に監督が見せたかったのBiSキャノンボールなのか。

普通を装っている男vs異常を装っているアイドル。
当初はそういう偽者vs偽者の構図を作りたかったんだと思います。
でも実際は違った。全裸になったりする過激アイドルとして名を馳せたBiSですが、彼女達は誰よりも普通の女の子であること、そして強い仕事への誇りを持っていることがわかる。本作はあえてそこを強調しています。
最終的に、人間vs人間になっていく。

ここ本作の肝があると思ってます。松尾監督のあの涙も、そこから何かを感じたからなんじゃないかなと。

完全版で印象的だったのは嵐山みちるのパート。彼は完敗する。
本音じゃないから響かない!やっぱり(自粛)させて本気だって見せつけてやらねーと!そんなのできねーよ!みたいなくだりがあります。真理だなと思いました。
その後も何度もアタックを試みますが、全て蹴られ、最終的に精神的にボコボコにやられてしまいます。
人に受け入れられるって、自分を作るって、そして仕事って何だろうって考えさせられるくだりだった。名シーン。

ラストは継承、そしてなぜBiSが生まれ消えていったのかの答えを明示して終わりを迎える。星が瞬く夜に。泣いた。
また初対面のシーンを最後に持ってくる演出はニクすぎる。あれから何が変わったと思う?と、明らかに監督が観客側に訴えかける演出だった。

本気で作られたドキュメンタリーには、創作映画には真似できないドラマが生まれる。二度と撮れない企画だから余計凄い。
5時間半もあるので映画とは言えないかもしれませんが、紛れもなく、ドキュメンタリーの傑作になったと思います。
ヤマ

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