せいか

ボス・ベイビーのせいかのネタバレレビュー・内容・結末

ボス・ベイビー(2017年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

1217金曜ロードショーにて視聴。放映当時は自分には楽しめない作品だろうと思ってスルーしていたけど、放送を機にして見始めてみるとついついなんだかんだ最後まで観てしまういい感じのハチャメチャコメディであった。
最初の赤ちゃん工場のシーンにしても露骨にそうだが、全体的にとにかく皮肉たっぷりにアブノーマルに突っ走っている(と、私は捉えた。いささかの悪意さえも感じはするが)。

テーマとしては、一人っ子を謳歌して親の愛をわがままに一身に受けていた少年がそのポジションを赤子に取られ(言い換えればそれまでの少年は赤子のようなものだったのである)、それに嫉妬するも紆余曲折を経て愛情というものを自らも抱き、これを与えることを知り、成長する話といったものである。ラストの、僕の分の愛情も全部きみにあげるといったくだりがそういう意味でも作品の一番の山場と言える。本作ではこの紆余曲折部分に「ボスベイビー」なる存在で荒唐無稽且つブラックユーモア上乗せしまくりの味付けがしてある(し、彼もまた成長することになる)。

ペットというモチーフを敵サイドに取り込んで愛情というものの歪みの在り方を描いていたり、ビジネスとか金の汚さが妙に溌剌とコメディタッチで一貫して爽やかに殴りかかってきたり、生まれる前からしてどちらに転ぶにしても画一性といったものが求められる世知辛さがあったり、ずっと描き方を変えればいくらでも重たくなるものがとにかくギャグとして軽快に目まぐるしく描かれていき、目が回りそうなほどであった。

本作において親というものは主人公たちにとってはおよそ無力というか無能というか、少し怖いところも感じるのがミソであるような気もする。夢想にもあふれた子供たちの豊かな世界と、妙に空虚な(されるがままの)大人たちの世界とがあって、そういうのも皮肉だなあと思った。
敵サイドの、「今度はちゃんと育てるよ」とかいうセリフがサラッと出たのとかすごく怖かった。
ラストの大団円なんかもある意味、親はそっちのけで彼らの愛情が結実しているというか。赤子の世界と地上が一応は分け隔てられてるのがあるからというのはあるけど、結局そこに落ち着いたのも納得できるような、できないような……?

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18日追記

ボスベイビー、エグい作品なんだなあと思ったけど、設定も相まってあの露骨なエグさは露悪というか醜悪とも言えるところがあるので、おもしろかった!!!とかはまた違うんだよなあ。つい最後まで観てしまうテンポの良さと、そうした意識がそのうちに薄らいでいく怖さは感じた。ホラーやん。

ざっくり言うと、例えば、仕事か家庭かというような二択だとかも滲ませていたのだけど、結局、「家庭っていいよね! アットホーム!」みたいなところに落とすのも、なかなか最初の赤ちゃん工場だとか甘やかされる主人公とかの描写から最後に至るまでを観ていると、ウヘエと思うところはあり、そういうのもわざとやってるのかなあと思いはした。彼らにとってハッピーエンドなのは間違いないのだろうけれど、やはり毒を感じるというか。
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