みーちゃん

海にかかる霧のみーちゃんのレビュー・感想・評価

海にかかる霧(2014年製作の映画)
3.7
オープニングの5分間が、とても綺麗だった。ストーリーに繋がるセリフは一言もないけれど、彼らが素晴らしいチームであり、ひとりひとり全員が、真っ当な人間であることが、見ているだけで分かった。そして、それら全てを、夕陽に映し出される古い漁船の、美しいシルエットが物語っていた。その美しさに、逆に、これから何が起こるのだろうと怖くなった。

足に網が絡まり、危うく切断されそうになる、どこか鈍臭いドンシク君、それを荒くれ者の乗組員全員が、必死で助けようとしていた。そして、命と同じくらい大切な船体より、迷いなく、乗組員の安全を最優先したカン船長。

あの姿が、紛れもなく彼らの真の姿だと思いたいから、終わってから、もう一度、その場面を目に焼き付けた。

作品としては、この重いテーマを、ドンシクの純愛を通して描いたことに、拍手を送りたい気持ちになった。それって簡単なことじゃなく、とても勇気がいる表現の仕方だと思う。

だから、私はドンシクの純粋さに、素直に胸を打たれたし、同じ純粋さを、カン船長にも感じた。最後の最後まで、彼に対しては共感する余地があり、全く狂っていなかったと思う。