イチロヲ

ハードスキャンダル 性の漂流者のイチロヲのレビュー・感想・評価

3.5
厳格な家庭で育てられた男子中学生(野沢晶則)が、抑圧されていた欲望の爆発に苛まれ、無軌道な放蕩を繰り広げていく。少年が近所に家出するだけの話を、当時の風俗を織り込みながらスケッチしている、日活ロマンポルノ。

血気盛んな少年の性行動と、その両親の性行動を交互に描写して、性生活の何たるかを説いている作品。ヒロイン役を演じる亜湖の存在感が強大であり、「性の在り方とは?(=甲斐のある人生とは?)」を考えさせられる内容になっている。

「現実から逃避しながら、自分に合った生き方を探したい。でも、どこに行っても感動がないんだ!」物語のテーマ性は、少年のこの台詞に集約されている。台詞で喋らせずに、鑑賞者に汲み取らせて欲しかったが、感情移入の妨げにはなっていない。

80年代バブル期に突入する以前のカルチャー(竹の子族・ディスコ・ロックンロールなど)が映像に収められているところも興味深い。作品としては小粒だけど、その時代の空気を感じ取ることができる。
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