Ryoko

誰でもない女のRyokoのレビュー・感想・評価

誰でもない女(2012年製作の映画)
4.0
ノルウェーとドイツの合作映画。
1960年代、ノルウェーの一般家庭に大量に工作員を送り込んだ東ドイツの秘密警察シュタージ。
そして、ナチスが推し進めたドイツ民族創出計画のもと、ナチス隊員とノルウェー人女性の間に生まれた子どもたちの存在など、今まで知らなかった事実が描かれ衝撃だった。

ー 長年連れ添った家族が実は敵国の工作員だった ー
それがわかったときの驚き、戸惑い、恐怖は想像もしたくない。

工作員である自分と、幸せに家族と暮らす自分を使い分ける主人公の苦悩が痛々しく描かれる。
円満な家庭がすこしずつ壊れていく、嘘で塗り固めていた自分の正体がどんどん暴かれ、追い詰められていく。

少し粗めの画は冷戦期の記録映像のよう。そして劇中晴れることのない灰色の空は、暗闇から抜け出すことができない主人公の人生を表してるようだった。
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