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天使のはらわた 赤い閃光のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

天使のはらわた 赤い閃光(1994年製作の映画)
4.2
スチールカメラマンの土屋名美(川上麻衣子)はAV撮影現場で仕事を進めるうち、9年前、見知らぬ大男にレイプされた過去を思い出した。事件以来男性恐怖症に陥っていた名美は、バーのママちひろ(速水典子)と愛し合ったりするが本気にはなれない。その日、彼女は酒の力で気を紛らわせようとして酔い潰れてしまう。ふと目覚めるとそこはラブホテルの回転ベッドの上で、横にはハンディカメラと店の客だった須川の死体が。名美はとっさにビデオテープを抜き取り部屋を後にした。テープには見知らぬ女と須川の痴態が繰り広げられていた。その日から男の声で脅迫電話がかかるようになり、警察の捜査も名美の近くまで及ぶ。彼女はあの晩、アドレス帳をちひろの店で落としたこと、仕事で一緒になったフリーの編集者・村木哲郎(根津甚八)も店にいたことを思い出し、村木にビデオを見てもらおうとする。その時、カッターナイフを持ったちひろが名美を助けに来たと言い、村木を襲ってきた。名美に脅迫電話をかけ、須川を花瓶で殴ったのはちひろだった。ちひろは村木と揉み合ううちに足を踏み外し、3階から落下して死亡した。……村木と愛し合う名美。ビデオテープの続きには、予想もつかないものが写っていた。石井隆の代表作「天使のはらわた」シリーズの一作。
川上麻衣子演じる名美や速水典子演じるちひろの、男性の妄想を具現化したポルノに影響された男性に欲望の捌け口にされた心の傷と苦悩が軸になった複雑な愛憎劇、事件の一部始終が記録されたビデオテープに隠された真相に振り回される巧みなミスディレクションとサスペンス、クライマックスで明らかになる驚愕の真相と恐ろしくも哀しいオチは「氷の微笑」を越えているし、石井隆監督作品の中でも隠れた傑作ラブサイコサスペンス映画です。
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