茶碗むしと世界地図

イニシエーション・ラブの茶碗むしと世界地図のレビュー・感想・評価

イニシエーション・ラブ(2015年製作の映画)
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 乾くるみの同名小説を映画化したものである。

 大どんでん返しが売りでどんだけすごいのかと思って見てみると、まあふつう……というか、どこで驚けばいいのか全然わからなくて拍子抜けした。個人的にこういう答え合わせをするだけみたいな作品はものすごく人工的なものを見せられているという気分になって、あまり趣味ではない。ああいうギミックは映画の真ん中くらいに持ってきてそこから面白みを出すのが正攻法で、作り手も十分に理解しているとは思うのだが、原作を忠実にやらないといけない企画だからまあしょうがないのだろう。ただ、一方でそこに踏み込んでがっつりやらないと、この映画化はあまり意味がないのではと思うところもある。

 全体的にやる気のないプロダクションで80年代の必死の再現が見所だが、エンドロールも含めてなんか『昭和50年男』みたいな感じだなぁとしか思えなかった。そんな中でも成岡繭子役の前田敦子や石丸美弥子役の木村文乃がとても魅力的で、なんとか映画が保たれている。とくに前田敦子はこの当時でまあまあキャリアを積んでいるにも関わらず初々しさが非常に強調された演技をしており(単に演技が下手ということではないと思う)、繭子がなかなか可愛らしかった。