なっすん

イニシエーション・ラブのなっすんのレビュー・感想・評価

イニシエーション・ラブ(2015年製作の映画)
3.7
―前の彼氏に言われたんだ
 「お前にとって俺は
   “イニシェーション”だったんだ」って―


【あらすじ】
1980年代後半―
●SideA
大学4年生の“鈴木”は参加した合コンで“マユ”と出会う。合コン時には大きな進展はなかったものの、その後の海水浴でマユと再会する。奥手な鈴木に対し、社交的なマユからのアプローチもあり二人の距離はどんどん縮まっていく。
●SideB
地元静岡で就職した鈴木は、本社の東京へ転勤を命じられる。静岡へ残るマユとは、車で片道5時間の遠距離恋愛となってしまった。本社で出会った同期の“美弥子”と、意気投合した鈴木は、徐々に彼女へ引かれ始める――

キャッチコピーは
「最後の5分、全てが覆る」


◆◆◆◆


最後の最後で覆るどんでん返しもの。小説は読んでません。過去に一度鑑賞しており、この度はオチを知っている二回目の鑑賞。とはいえ、最初に見たのが数年前なので要所要所は忘れていた。端的に言って「面白かった」。

キャッチコピーだけでなく、映画の冒頭でわざわざ「この映画にはある“秘密”があります」と前置きをしてくる。
ポスターならまだしも本編に入れてくるのは結構攻めた手法。どんでん返し作品は、途中途中で「え?これなに?」という伏線を挟んでくるものも多いなか、この作品は気にしなければ変なところがない平凡なラブストーリー。この前置きがないほうがラストの衝撃が大きい!という意見の方もいるようで賛否両論なのかもしれないが、前置きのせいで違和感を探してながら見てしまうのに、それでも変なところは見つからない。なので、個人的にはこの演出は大正解だった。

前田敦子のわがままで悪びれる様子もない純粋無垢を装う悪女な役、うまかったなあ。しかし木村文乃のサバサバした演技も好み。1980年代後半という時代背景、携帯電話なんてものはなく、家の固定電話でもじもじするノスタルジックな雰囲気大好き。

ただ皆さんが書いてるように、最後の順を追ってネタバラシしていくシーンは確かに蛇足かもしれない。あれはあれで頭のなかを自分で整理する必要が省けるので便利だけれど…映画を見終わったあとに自分で思い返す時間は余韻に浸れる大切な時間のひとつなので、、あの演出は「あー全部終わっちゃった!」って感じがして少し寂しくも感じる。
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