夫の故郷に久々に帰った夫婦の愛と苦悩を描いたヒューマンドラマ。
妻の浮気の告白から一気に暗転する家族の物語は、人間の普遍的な葛藤や苦しみを、さりげなく、しかし色濃く炙り出していく。
夫の苦悩、妻の苦悩をそれぞれ声高にではなく、ゆったりとした時間と俳優陣の奥深い演技によって表現している。
ヴェラの終盤での言葉はアレックスを突きつつ自分にも返ってくる。
娘エヴァをウサギと呼んだことなどが想起される。
ズビャギンツェフらしい美しい映像がより抒情的な空気を生み出している。
冒頭の兄マルクの道行きと終盤のアレックスの道行きが重なるのはニクい演出。
ただ、ちょっと冗長で軸が定まってない感じがしちゃう。
他の作品がすべて素晴らしかったのでちょっと残念。