このレビューはネタバレを含みます
この作品は、始まる時点で殆どが終わっている。
妻は夫婦関係が破綻したことを分かっていて、彼女の「打開の方法は何かあるはず」という言葉は、何も無い、と言っているに等しい。
誤解することが確実な「あなたの子じゃない」の言葉の真意を積極的に説明しなかったことからも、心の奥底ではもうどうにもならないと分かっていたのだと感じた。
離縁なのか自死なのか、どのような形にせよ、作品が始まった時点で妻は終わっていた。
そう解釈すると、常に悟ったような表情をする妻の心の内が覗けた気がする。