のんchan

エレナの惑いののんchanのレビュー・感想・評価

エレナの惑い(2011年製作の映画)
4.0
『父、帰る』があまりに傑作で印象深かったので、ロシアの巨匠アンドレイ・ズビャギンツェフ監督をまた覗きたくなり3本目の鑑賞。

とても完成度が高いリアリズムを描き出している。
冒頭の長回しでその世界観にグーッと惹き込まれて行く...あ、これも好きだわと。
ただ、決して鑑賞後の余韻はよろしくはない。

題名とジャケのまんまなのだが、50代の主婦エレナが"盲目の愛"で行動を起こす...母性愛は母親を盲目にしてしまう。
ロシアを代表する女優ナジェジダ・マルキナが、美し過ぎずの中年体型で、そこら辺に居そうな主婦をそれはそれは自然に演じるので目が離せない。

10年前、当時看護師をしていたエレナは入院していた富裕層で妻に先立たれた男と出会った。貧困層だったエレナはその男と再婚した。しかし、現状は寝室は別、たまにベッドインするものの身体を許す家政婦同然だった。

2011年の設定らしい。現代だがロシアは未だ家父長制が根強く残っている。財力のある夫は決して悪い人だと思えない。堅実な人という印象もあったが、愛が足りないと感じているエレナとで乖離が生じているのだ。素のロシア社会をリアリティを持って映すことに成功している。

エレナには妻子持ちだが職にも付いていないクズ男の息子がいる。狭いアパートにひしめきあって暮らす息子家族に未だに自分の年金を与えている。その上、孫の大学生資金まで強請られる始末。
看護師だった知識があるせいで、悩みに悩んだ末にことが進む。

ん〜、なんとも言えない結末。
観た者に委ねるかたちなんだが...



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DVDは特典映像が鑑賞後の楽しみ✨
しかし今回の監督インタビューは途中で止めたくなった😣
「監督さ〜ん、貴方少し喋り過ぎ〜‼️」
と言いたくなるほど、まぁ〜口が減らないというか饒舌過ぎて、そこまで言わなくても😮...と言うくらい喋るので、折角の映像美の裏側まで知らされて、ちょっと興醒めしてしまった。
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