たてぃ

エレナの惑いのたてぃのレビュー・感想・評価

エレナの惑い(2011年製作の映画)
4.1
まさに「沈黙は語る」の作品である一方、(特典映像での)監督は(さんまさん並みに)おしゃべりという「コントラスト」も描いた作品でもありましたね。

主人公の初老夫婦は再婚同士であり、それぞれ子供がいて、妻には息子、夫には娘が。二人とも大人だが、仕事をせず親のお金に頼って生きている状況。妻の息子には子供がいて大学進学を控えているがもちろんそんな金はない。妻が資産家の夫に頼むも「赤の他人になんで払うの?」との回答。そんなある日、夫が病気で倒れ、余命いくばくもないと悟った夫は遺言状を書こうとする。その大まかな内容は「遺産のほぼ全ては娘へ」と…

沈黙のシーンがとても多くこの監督の作品らしく映像美が何度も見られました。沈黙が多いと中弛みしそうでしたが、この作品はそうでなかったのも良かったです。

そしてコントラストのシーンは少なくても3つほど発見出来て…それは「果たしてどちらが幸せか」を投げかけてるようで…(-_-)
・冒頭とラストのフレームのアングルは全く一緒だが、映し出してる姿が「無人」と「大勢」のコントラスト
・生活感の見えない主人公夫婦の部屋vs物で溢れている妻の息子夫婦の部屋のコントラスト
・テレビから流れてくる隙間ない会話の声やサッカーの試合実況の声vs主人公夫婦間の会話の少なさのコントラスト

それと、妻の息子がク◯すぎて何で奥さんは別れないんだろ?と不思議な気持ちになったのです。それで観賞後にちょっと調べてみると…ロシア人男性ヤバすぎ…😖
・ウォッカのガブ飲みで4人に一人は55歳までに亡くなる(息子はもっぱらビール党)
・DVが原因で離婚するカップルが多い(息子は妻に暴力を振るわない)
・ロシアは男性不足が深刻化でロシア人女性の未婚率は49%
これを知っちゃうとク◯息子の奥さんが別れないのもなんとなくわからないでもなく…(体たらくとはいえ…)…(-_-)

現代のロシアにおいて未だに「家父長制」が残ってることを「沈黙とコントラスト」で表現していた作品でした。

《補足》
・ロシア人男性の25%がウォッカの大量摂取によって55歳で亡くなるというBBCの記事 http://www.bbc.com/news/health-25961063

・ロシアの平均寿命の推移
男性はソ連崩壊の直前にピークとなる64.8歳となるも、その後の国内の混乱で57.6歳へと下がる。そしてプーチン政権となってからは回復し最新では66歳へ。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/8985.html
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