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マルセイユ・コネクション/フレンチ・コネクション 史上最強の麻薬戦争のdadaのレビュー・感想・評価

4.0
不屈の正義感を持つ判事が、巨悪な麻薬組織に立ち向かう。70年代後半の南仏で実際に起きた攻防戦を再現し、陰謀と裏切りと背信がノンストップで展開する、息詰るアクション&サスペンスドラマ。原題の”La French”は、南仏とアメリカを繋ぐ麻薬取引ルート「フレンチ・コネクション」の略であるが、71年のアカデミー賞5部門受賞の名作『フレンチ・コネクション』も、同ルートの存在を背景にして作られたものである(東京国際映画祭ホームページより転載 )。

南仏の陽気な海岸線と軽快なBGMを背景に疾走する二人乗りのバイク。
予備知識は、上記の解説とポスターのみだったけど、このオープニングを観ただけで、観賞して良かった!と自分の判断の正しさを後押し。

ガソリンスタンドで停車する車に合わせてスピードを落としたバイクから鳴り響く乾いた銃声。淡々と発砲するさまは、情けも容赦も無い心情を浮き彫りにします。
この無駄に足さないリアリズムがこの映画の基本スタンスで、判事を演じる『アーティスト』のジャン・デュジャルダン、麻薬組織の顔役のジル・ルルーシュともに芯の通った演技でこの映画の骨格を確かなものにしています。

多くのフランス映画の例に漏れず、味付けも抑揚も控え目ですが、ミシェル判事の不屈の精神と麻薬組織の顔役ザンパの素人には決して手を下さない、ある意味男気ある人間性は忠実に伝わってきます。
印象的なのはフランスのトリコロールを意識したであろう赤っぽい照明のカット、70年代のディスコミュージック、そしてオシャレな家具etc

久しぶりに、ほぼ予備知識なしで映画を観ました。本来はこんな感じに先入観を持たず、平らなココロで観賞するべきなんだと再認識させてくれた映画でした。

派手さはないけどなんか良い映画だったなぁ、なんてちょっと感慨に耽ってみたのですが、時間差で、寧ろ年取っちゃったんだなぁ俺、と痛感する夜更かしばかりの晩秋です。

@東京国際映画祭
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