もものけ

ザ・レッスン 授業の代償/ザ・レッスン 女教師の返済のもものけのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

どん底に落ちて、切羽詰まると、人は変わってしまうのよね〜……。

教師のナデは、ある日クラスの子供の財布が盗まれ、犯人を探すために名乗り出ることを待つ。
旦那は、仕事をせず家のローンを使い込んでしまい、銀行から競売に掛けられてしまう。
途方にくれたナデは、頼りにならない旦那を無視して、お金の工面をしようとするが、なかなか上手くいかない。
競売までの期限間近、クラスの子供が名乗り出ない為に、ナデは自分の財布を使って、犯人を誘き出そうとするが、それが転落の始まりだった……。



感想。
生活音だけで、被写体を後ろから追いかけるカメラワークが多い映画ですが、リアルさが伝わってきて、割とハラハラしながら、次はどうなってしまうの??と思いながら観ました。
フィルムは、それほど発色がよくない感じでしたが、カット割りなど好みだったので、あまりチープな感じには見えませんでした。

ダメダメな旦那なんですが、娘には懐かれており、優しいところに騙されてしまう自分がいましたが、やはりダメダメ。
直るかわからないポンコツ車を売りに出す為に、パーツを買うために使い込んでしまうのが、危機感なくて主人公の呆れ顔に納得。

でも主人公も父親がお金があるのに、死んだ母親の後釜の娼婦のような女に怒って意地になって頼れず、翻訳のバイト先の社長には言いくるめられて代金を払ってもらえないわで、不幸の連続にハラハラしながら、やはりダメダメ。
挙げ句に、銀行の競売まで時間もなくなり、怪しげな街金から金を借りてしまうダメダメっぷり。

でも、家族を想ってなんとか私が頑張らないとって感じが伝わってきまして、すごく感情移入してしまいました。

ラストは、どうにもならなくて銀行強盗までしてしまう始末。
銀行強盗のシーンが、遠目で主人公がストッキングを被り扉を開けて入っていくシーンなのですが、そこで画面が暗くなって銃撃戦の音で終わるんだな……と、思って観ていましたが、
まさかの、あっさり成功して街金に返済してしまうオチ。
更に、捕まることなく授業に普通に出てきます。

でも、教室へ入るとクラスの子供が財布を盗むまさにその瞬間を ここで目撃してしまうという。

このラストが個人的に印象的でした。
クラスの子供の僅かなお金を盗むのを見て、大金を銀行強盗した自分に重ねてみて、間違ったことは許さない教師だった自分が、恥ずかしく思えたのか、あっさり見逃してあげました。
そりゃあ、返済が足りなくなってしまって、その子におそらく盗まれたのがキッカケとはいえ、小銭を恥を忍んで借りるわ、噴水の小銭は拾うわ、挙げ句に銀行強盗までしてまったら、言えませんよね〜。

役者も良かったし、カメラワークも好みで、中盤からのハラハラしながらの鑑賞で、とても良かったので4点付けさせていただきました!!
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