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ザ・レッスン 授業の代償/ザ・レッスン 女教師の返済の708のネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ダメな夫の愚行のせいで、理不尽で胸糞悪いことにどんどん巻き込まれていく女教師。ここまで理不尽で不幸が連鎖すると、ブラックコメディにすら思えてきます。もちろん、真面目な話なんですが。なかなか見応えありました。

自分が受け持つクラスで、ある生徒のお金を誰かが盗まれるのですが、正論を唱えながら教え子たちを諭す女教師。でも、自分の家が夫のお金の使い込みのせいで競売にかけられるとなったらば、サラ金の返済期限を延ばしてもらうために、サラ金店主の甥っ子である自分の教え子のテストの点数を操作しちゃうわ、噴水に落ちた小銭を拾い集めるわ、銀行強盗しちゃうわと、恥も外聞もなく倫理観をいとも簡単に崩しながらも、自分のプライドだけは守り抜きます。そういや、クラスで盗まれたお金が出てこないということで、クラスメイトひとりひとりにお金をカンパさせて、犯人に貸しをつくらせるというやり方も、果たして正しいやり方なのかがわからなくなりました。

家が競売にかけられないために、きちんと指定された金額を女教師が振り込んだものの、裁判所の計算違いでお金が足りませんでしたというくだりがあったけど、日本円でいくらかを計算したら、100円弱くらい。とても皮肉。松本清張の短編小説「百円硬貨」を思い出しました。

それにしても、あまりに役に立たない夫のクズっぷりに苦笑い。女教師の父親の今の奥さんの写真に黒いマジックで落書きをしたとき、「チャクラが閉じちゃう」というフレーズ。チャクラってそうすると閉じちゃうのか。お勉強になりました。

音楽は劇中で流れるブルガリアン・ヴォイス以外はなし。黒板にチョークで書く音だけが響くエンドロールも印象的。ブルガリアとギリシャの合作だそうですが、アスガー・ファルハディ監督やミシェル・フランコ監督の作品と似たような質感を感じます。
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