「Avalon」「イノセンス」などの押井守監督による特撮映画。もとはと言えば「ガルム戦記」であった。(題名はこっちの方が好き。)キャストはランス・ヘンリクセン、ケヴィン・デュランドなどなど
惑星アンヌーンに生息するガルムというクローン戦士。彼らは肉体が死んでも脳内に残る記憶やデータを移行してもらうことで体をリサイクルしながら生き永らえることができる。創造主であるダナンの統括のもと8つの部族に別れていたが、ダナンが消滅したのち、覇権を握るための戦争が激化する。8つの部族の3つしか残らなくなった。その異なる部族のクローン戦士3人が神のお言葉を伝える使者に従って聖地に赴く話。
元はと言えば2001年に特撮監督樋口真嗣、脚本によくタッグを組む伊藤和典、製作総指揮にジェームズキャメロンという超大作になる予定だったが没になってしまった。その代わりに製作されたのがAvalonなのだと思うとそれはそれでよかったのかと思います。
仮にこれビッグバジェッドと豪華制作陣で作ったとしても、もしかしたらこけたのかもしれない。そう思えるほど、ちょっと人間の業などを表面的にしか捉えていないと思いましたね。
映画はアクションシーンも後半に入ってからふんだんにありますが、ちょっとAvalonに比べてみても中だるみと説明描写がくどい。ただ、押井監督作品の中ではAvalonと同じくユーモアもあるキャラクターもあると思ったが、3人しかいないんだからもうちょっとキャラクターや部族の掘り下げしたほうがよかったのかもしれません。
でも、甲冑のデザインなどはやはりケルベロスサーガの面影が残っていてとても良かったのかと思います。それでも印象が薄いかもしれませんね。
映画は中盤まではカラとスケリグの恋模様などでちょっとは面白くなるのですが、最後の最後で怒涛の展開やっているんだけど全部口頭で説明しちゃうからなんか物足りない。
それに、CG描写がちょっと古臭かったかな。中国とかでダウンロードできるような無料RPGのCG並みの出来なのが残念。このスケールでAvalonじゃなくてこれ作ってればまだ迫力はあったのではないだろうか。
いずれにせよ、もうちょっと絵的な驚きがあればよかったのにそこがなかったのが悔やまれる作品。でも観れて良かったと思います。