TAK44マグナム

君はゾンビに恋してるのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

君はゾンビに恋してる(2011年製作の映画)
4.0
ゾンビが勝つか?それともジェイソンか?
いや、やっぱり最強はJKか?!


「チンコリンピック」で拝見した生のお姿も迷彩柄がお似合いだった友松直之監督(「ゾンビ自衛隊」等)による、ゾンビ恋愛映画!
ゾンビ✕恋愛というと、海外には「ウォームボディーズ」という良作がありますが、どっこい我が国にも「君ゾン」(←勝手に略してみました)があるじゃありませんか!
全く世間一般的には知られていませんがあるんです、ほんと!


学校でいじめられる毎日の将太の仇名は「ゾンビ君」。
そんなゾンビ君に興味を持った同級生のヒトミ。
携帯の待受を「サンゲリア」にして、友達にロメロやフルチへの愛を説くという、いわゆる変態すぎてイタいJKであるヒトミの夢は「ゾンビの彼氏をつくること」。
ヒトミは将太を理想のゾンビにするために、色仕掛けで「ゾンビパウダー」を作らせる。
さらに、「悪の教典」の山田孝之から学んだのかどうか知らないが生パンツを餌にして将太を殺害、ゾンビパウダーを使って彼を生き返らせるのであった。
理想の彼氏を得たヒトミは、リアルゾンビと化した将太とデートやセックスを楽しむが、将太の身体はどんどん腐り、ついには楽しい日々にも終わりがきてしまう。
そして、ヒトミは新たな理想の彼氏(日米ハーフのホッケーマスク野郎、その名はジェイソン山田!)と出会い、傷心の将太はひとりぼっちになってしまうのだが・・・・・


突然のセックス!
突然のヴァイオレンス!
そして突然のミュージカル!
この衝動的な唐突さはロックンロール?!違うか!

いやいやいや、これはシナリオが面白いじゃないですか!
ゾンビに恋するJKって、そんな頭がおかしい話を本気で映画にしようなんて普通は誰も思わないですよ。
移ろいやすいく無責任なJKを主人公にして、やはり無責任な周囲の人々を描いた社会風刺的な一面をもっているところなんて、劇中でもセリフに出てきますけれど何だかロメロっぽい。
「男なんて死んでてなんぼ」とか、ポップで笑えるセリフが目白押しだし、「博報堂」ならぬ「吐く程」には大笑いしちゃいました。
ゲリラ撮影なのか何なのか、周りの人たちがドン引きしているゾンビとJKのデートや、スカッと爽やかなブラッディコーラのCMなど、現実との境界を曖昧にされる迷場面も盛り沢山!

ヒトミ役の女優さんはAV方面の方なのですが、ゾンビネタをまくし立てるシーンなどの演技は褒められたものでないものの、やはりセックスシーンの「すごく硬くなってる〜!ここも死後硬直かな❤」などと言うおバカなセリフもキマってる艶技はすごく上手。
ちょいとJKには見えないけれど、全身から無責任感が溢れ出るような雰囲気はヒトミ役にぴったりですね。
それにしても、ジェイソン山田(笑)とのテカテカで濃密な濡れ場は殆どAV!
というか、これって元々、ゾンビネタ絡めたAVの脚本だったんじゃないですかね?たまにありますよね、そういうの。
本編の尺は70分程度ですが、セックスシーンを3倍ぐらいに増量すれば立派なAVとして世に出せますよ(苦笑)
そのぶん、社会風刺的な要素を全部カットして、たんなるゾンビオタクのJKがゾンビやジェイソンのコスプレした男優とエロエロしいことをするだけにすればOKだろうし・・・。


まあ、なんにしろ意外な拾いものというか面白いんですけど、唯一の難点があります。
それは、ホラー映画ファンなら気になってしまうであろう「看過できない粗」DEATH!
まず、ヒトミのセリフで「28時間後シリーズが云々〜」というのがあるんですが、これって素で「28日後」の言い間違いをそのまんまにしちゃったんですかね?
思わず「28時間後」なんて映画あるのかよ?と検索したら、あれま!あるじゃないですか(汗)
調べたら、ダニー・ボイルとは何の関係もないパチモンでしたけれど・・・しかも評価が最悪ときたもんだ!

あと、ヒトミが「13日の金曜日」のDVDを観ているシーン。
テレビ画面には景気よく殺人を行うホッケーマスクのジェイソンが映っているので少なくとも「13日の金曜日パート3」以降であることは明白なのに、何故かゾンビ君が手に取るパッケージは一作目のものなのです。
もしかしたら観ているものと置いてあったDVDは違うのかもしれませんが、わざわざそんな事をする意味もないので、これも単純なミスなのではないでしょうか。
でも、ゾンビやジェイソンネタで引っ張る映画で、このディテールの甘さはいただけませんねぇ。
もしかしたら親切にも、ツッコミどころを用意してくれたのかもしれませんが(←そんなまわりくどいことするわきゃない!)。

とは言うものの、スプラッターな部分は悪くありません。
けっこうドギツい人体破壊がブッこまれますよ。
何故か顔ばかり腐ってゆく(手とかは普通)ゾンビメイクもリアルさは微塵にもありませんが、哀愁ただよう表情が感じられるのが良いですね。
街の住民にボコられたり、ほんと可哀想。
ヒトミの欲望のため、ただ仇名がゾンビ君ってだけで巻き込まれただけなのに!
よくよく考えたら、こんな酷い話もあったもんじゃないですよね。
殺されて、ゾンビにされて、浮気されて・・・

それでも愛しい彼女のために頑張る姿は涙を誘いますが、我に返ってみると将太ってたんなるバカなんでは!
いくらフランス語を読めたところで、バカはバカ!
ゾンビになってから童貞を捨てられたところで、彼はいったいどうするつもりだったのか・・・(汗)

そんなバカな男子と変態JK、そしてジェイソン山田(←だから、なんで山田なんだ?)の恋愛模様にキュンキュン要素は皆無!
スーパーポジティブにハッピーエンドをいくら気取ってみても、「・・・で、結局どうするの?」と、我に返ってみればどうしようもないわけで。
そんなところが実はホラーなのでした。

結局はエロしか残らん映画ですが、煩悩にまみれた笑いと恐怖はホラーコメディとして全くもって正しいアプローチでしょう。
ビジネスとしてだけじゃない、作品に対する愛が感じられます。
だから面白い。

でも、いくらJKにあんなことやそんなことされても、ゾンビにはなりたくないよなあ!




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広瀬すずJK「わたし・・・実はゾンビとのエッチが夢なの!」


あ、なりますなります!
いますぐにゾンビになります!
ちょっと、ゾンビパウダーの材料買ってきます!



NETFLIXにて