T太郎

ライオット・クラブのT太郎のレビュー・感想・評価

ライオット・クラブ(2014年製作の映画)
3.8
979
なかなかの胸糞っぷりだ。
非常に不愉快で目が離せない作品だった。
私は大変面白く鑑賞させていただいたのである。

オックスフォード大学で数百年間受け継がれてきたエリートグループ、”ライオットクラブ”。
定員10名で、選ばれし上流階級の子弟のみが入会を許されるという。

活動内容は、とにかく楽しむ事。
なんら生産性のないバカ騒ぎにのみ熱心な男たちなのだ。

更に選民主義者たちだ。
同じオックスフォードの学生に対しても家柄や出身高校で差別をする。
そんな男たちなのである。

物語は二人の新入生を中心に進んでいく。
マイルズとアリステアだ。

対照的な二人である。
アリステアはマイルズに対抗意識を燃やす野心家だが、マイルズは人当たりの良い好青年といった感じだ。

ライオットクラブは“晩餐会”という名の宴会が恒例行事らしい。
今回も新入生の二人を迎え、この“晩餐会”という名の宴会を開催する。

ご近所のお店は出禁になっているらしいので、今回はちょっと遠方のお店を予約したようだ。
庶民的な感じのいいお店である。

ところが、この宴会が非常に不愉快なのである。
他のお客さんやお店の迷惑などは一切念頭にない。
メチャメチャ騒ぎまくるのだ。
あまりのうるささに途中で帰るお客さんもいたりする。

このお店は本来、ファミリー向けの静かなお店なのだ。
実に感じのいいお店なのである。

しかし、奴らは自分たちを選ばれし人間だと思っている。
一般庶民の事など、知ったこっちゃない。
俺たちのお楽しみに口をはさむな。
という理屈なのだ。
なんという厚顔無恥な振る舞いであろう。

私も行きつけの居酒屋で似たような経験がある。
2階が宴会場になっている居酒屋なのだが、大学生と思しき男女の集団の宴会に5、6回遭遇した事があるのだ。

奴らはそれぞれが、自己最高記録であろう大声で叫び倒すのである。
男女問わず。
毎回。
全員が。
長時間。
やかましい事、山の如しなのである。

多分、いや、間違いなく同じ集団だ。
他のどの宴会場でもお目にかかった事のない傍若無人ぶりだったのだ。

一般的に大学生のノリと言われるものより、更に恥ずかしいノリであった事は間違いない。
一体、奴らは何だったのだろう。

気の弱い私は何も言えず、不味くなった酒をあおるしかなかったのだ。

奴らが地獄に落ちる事を私は願っている。(こらこら)

おっと、珍しく話が横道に逸れたようだ。
(毎度の事やで)
この作品についてだ。

ライオットクラブの宴会は終わらない。
閉店時間になっても終わらない。
夜はこれからだ。
奴らのバカ騒ぎは加速度的にエスカレートしていく。

そして、遂に・・・・
奴らは取り返しのつかない事態を引き起こすのだ。

イギリスには未だ階級差別が残っていると聞いた事がある。
人種や民族ではなく階級?
にわかには信じられないのだが、あるらしいのだ。

この作品は、そのようなイギリス独自の差別問題に対する問題提起なのだろう。
知らんけど。

私は胸糞映画が大好きだ。
登場人物の醜い振る舞いを反面教師として、己の行いを見つめ直すよい機会と捉え・・・

いや、違う。
全然、違う。
その醜い振る舞いを客観的に見る事が、単に面白いのだ。

恐いもの見たさでホラー映画を観るのと、同じような感覚かもしれない。

これからも私の胸糞探訪の旅は続く。
果てしない旅だが、私はへこたれはしないのだ。

       完
T太郎

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