Yuki2Invy

襲う!!のYuki2Invyのレビュー・感想・評価

襲う!!(1978年製作の映画)
4.0
世はなべて表裏一体。レイプが題材であることも含めて何処も彼処も非常に暗い作品です。各シーンも総じて(物理的にも)暗いですし、何より主演の小川亜佐美が纏う”翳”ときたら、凄惨な展開+能面の様な無表情も相まってもはや無機質、と言わんばかりの陰鬱さです…が、五度六度にも及ぶ凌辱の涯てに、逆説的に彼女は自分自身というモノを見事に取り戻しました。そう、拘束こそが自由の証明、痛みこそが生の実感、苦悩こそが人生の本質、そしてソレらに抗う「反逆のメンタリティ」こそが、ヒトをヒトたらしめる最も根源的な人間性なのだ、と。本作は根本的にはポルノでもナンでもなくて、ひとりの人間が「人間に成る」という実に普遍的で歓喜に満ちた物語であったと確信しています。傑作かと(こーいうのが在るからロマンポルノ巡りは止められぬ)。

ベートーベンって、映画音楽としてはあんまし一般映画でも聴かないかな…とも思うのですケド(『月光』は偶に聴かないコトもねーかな?)、やっぱその楽曲はテーマ性にせよ音楽性にせよちょっと「力強すぎ」て、物語の添え物とするには不向き…というコトかな、なんて(オペラも殆ど作曲してないですもんね)。ただ、今作に関しては正にドンピシャ!でありましたかね(とゆーか、今作はベートーベンじゃなきゃ成立しなかった…てレベルじゃねーかと)。監督の慧眼、此処に極まれり…てなモンかと。
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