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襲う!!のdemioのレビュー・感想・評価

襲う!!(1978年製作の映画)
3.5
日活ロマンポルノ定番の「薄らぼんやりした美女が周りの男たちの支配欲と性欲を喚起しリズミカルに犯される」の類型たる作品だけど、そのリズムにいちいちベートーヴェンの交響曲を挿入し、ただの性犯罪の絵巻をまるで人類史の事変のように煽り立てるというロマン派音楽の使い方は、のちのネクロマンティックや、そこから学んだギャスパー・ノエのようだった。
正直退屈な画面がずっと続くのだけど、週一ぐらいのペースでレイプしてくる革手袋のジャーロ風怪人が誰なのかという作劇にどうしても張り詰めていたミステリーの線をわざと殺していくように、主人公が粗野な労働者を逮捕させ、同僚の婦警・刑事たちを乱交に誘い彼らの性の営みを可視下に治め、身近な範囲からあのレイプ犯の候補を排除して「第三の審級たる超越者は、世俗には存在しない」ことを確認したのち、最後に再び現れた超越者と和姦をすることで終わりを迎えるのはおもしろかった。
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