たてぃ

スリーピング・ボイス 沈黙の叫びのたてぃのレビュー・感想・評価

4.2
スペイン内戦を扱ったスペイン映画ってなんでこんなに泣かせるんでしょうか…「蝶の舌」「ペーパーバード」「ミツバチのささやき」に続いて今回も…>_<

1940年、世界は第二次世界大戦に突入、しかしスペインは内戦が終わってファシスト独裁政権が誕生し、内戦で敵の共和国側で戦った、あるいは手助けしただけでも弾圧される時代が到来。主人公の姉は旦那とともに共和国側で戦ったためマドリッドの女刑務所に収監され裁判を待つ日々。しかも姉は妊娠7カ月。そんな中、妹がスペイン南部のコルドバから上京し、姉の刑を少しでも減らそうと奔走するが…

当時のスペインの重い雰囲気が存分に映し出されています…ナチスドイツと変わらないじゃん、とも思いました…あちこちに秘密警察がはびこっていたり、裁判と言っても、裁判官、検察官、弁護士ともに政権側の人達なので、いわば形だけの裁判…ただナチスと違うところは、ユダヤ人狩りはなかったところ。その代わり、カトリックがファシスト政権を全面協力してたところですかね…女刑務所の看守がシスターでこれがまた極悪で日本の江戸時代を彷彿とさせる「踏み絵」に近いことをやらせたり…いくら共和国側の人達が教会を弾圧してたからってやり過ぎでしょ…

「勝てば官軍(ファシズム側)、負ければ賊軍(共産主義側)」という具合に描かれてはいますが、勝った方(ファシズム側)にも「家族がアカ(共産主義側)に殺されたけどあなたは別よね…」とか「命懸けで戦ったって?前線から50キロも離れた所にいたのに?」と調子に乗る人をたしなめる人もいたりして勝った側にも負けた側に寄り添う人もいたことを映し出されていたのは評価したいと思います。

《蛇足》
・妹の南部訛りが可愛かったですwスペイン南部のアンダルシア地方の人は単語の語尾のSを発音しないんですよね。「あいつらは食いしん坊だからSまで食べる」と誰かが言ってたのを思い出しましたw

・あるシーンでスペイン国旗の横にナチスの旗も貼ってありました。第二次世界大戦でスペインは「中立国」でしたが、実際にはナチスドイツに協力的でした。なので、戦後はどこの国にも相手にされず鎖国状態になり、経済は困窮を極めます。それを見計らって近づいたのがアメリカ…「食料と燃料あげたるわ。その代わり、スペイン国内に米軍基地作ってね(ニッコリ)」ていう具合に…
たてぃ

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