中学生の頃「工藤栄一監督、萩原健一主演」というタイトルでレンタルショップに置かれていて、気になっていたがとうとう見なかった作品。最近になってDVDを入手して見ることが出来たが、予想していたよりも面白くなくてがっくりしてしまった。
工藤栄一らしい映像の美学は健在で、雨の中でのカッパを着たショーケンによる殺人シーンなんかは流石と言える出来映え(Vシネの安っぽさは否めないけど)。ショーケンの敢えて顔を出さず、腕や後ろ姿で自分の感情を表現する独特な演技も決まっていた(ただ、後半の堕ちていく過程の演技はやや単調に感じた)し、夏樹陽子や脇役陣の演技も良かった。
ただ肝心のストーリーに今一つ乗れなかったのは大きかった、悪徳刑事に扮するショーケンの破滅と、ショーケンが付き合っている夏樹陽子とのドラマが絡まないまま乖離した状態で物語が進行して、本来なら二つのドラマが絡む結末もさして響かないまま終わってしまう。ただ出てくるだけの夏樹陽子の元旦那のエピソードなど、ちゃんと二つのドラマを煮詰めればフィルム・ノワールっぽいドラマになれたはずなのに勿体ない。まあこの時期の工藤栄一監督はドラマより映像を優先してたから仕様がないけど。
あと中盤に唐突に登場する中村あずさ、どう見てもプロデューサーに頼まれて撮りました感があって引いちゃう。