ノッチ

闇に住む女のノッチのレビュー・感想・評価

闇に住む女(1918年製作の映画)
3.5
幼少から寝たきりの生活を送っていたステラ・マリスは、彼女を愛する叔父達によって大切に大切に育てられ、一切の不幸から隔絶されて生きてきた。

しかし手術を受けて歩けるようになった彼女は、行動範囲が広がるにつれ世の中の貧困や悲しみの存在に気付く。

更に想いを寄せていた青年が実は既婚者だったと知り、無垢なステラは深く傷つくのだった。

幸福な箱庭で生きてきた少女が、辛い現実を知り苦悩しながら成長していくドラマ。

アメリカの恋人、メアリー・ピックフォード26歳の時の一人二役作品です。

幸福なお嬢様と不幸な孤児を演じている。

さすがは芸達者で可愛い。

特殊メイクによる一人二役だという信じられない事実で、表裏一体の明暗対比が浮き彫りになる名作に化けた。

ピックフォードの一人二役からも気合が伝わってくるこの作品は、野心的な作品と言える。

ストーリーは、孤児から救われた使用人による自己犠牲殺人の単純な話。

ハッピーエンドのようでなんか後味の悪い終わり方だなと思った。

話は大時代的ではあるが、2人の少女を対比させ、上手く映像化している。

また、これには原作があり、作者はウィリアム・J・ロックの『ステラ・マリス』なのだそうだ。

映画が作られてから100年以上経ち、すでにピックフォードはこの世を去った。

それでも、私たちは「ピックフォードはこういう役者でした」という簡単な説明以上のものを見ることが出来る。
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