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エレファント・ソングのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

エレファント・ソング(2014年製作の映画)
4.3
マイケル(グザヴィエ・ドラン)は美しい青年だった。14歳の時、オペラ歌手である母が目の前で自殺し、それから現在まで精神病院に入院している。
病院で一番の問題児とされている彼は、ゾウにまつわるあらゆることに異常なまでの執着を示した。
ある日、担当医のローレンスが失踪。手がかりを知るのはマイケルだけ。
彼のことをよく知る看護師長ピーターソン(キャサリン・キーナー)は“マイケルは茶化すだけで真実を話さない”と助言するが、院長のグリーン(ブルース・グリーンウッド)は事情聴取を試みる。
すると、話をする代わりに、と彼は条件を提示してきた。それは、“1.僕のカルテを読まないこと。”、“2.ご褒美にチョコレートをくれることを約束すること。”、“3.看護師長をこの件から外すこと。
”グリーンはその条件を承諾するが、マイケルはゾウやオペラについての無駄話で話をそらすばかり。
“母を殺した”、“ローレンス医師から性的虐待を受けていた”など、嘘か本当かわからないようなことを仄めかす。
いつしかグリーンは、マイケルの巧妙な罠に取り込まれてゆくが……。
グザヴィエ・ドランが「マイケルは僕自身だ」と出演を切望したサスペンス映画。
虚言が多く挑発的な言動の中に「過去の言動を含めた僕ではなく、今の自分を見て欲しい」と無条件の愛を望むマイケルの心情は、今までのグザヴィエ・ドラン監督作の主人公に共通のもの。
グリーン先生とマイケルのお互いの言動の中に真実を模索する駆け引きと会話が、サスペンスフル。
マイケルの真意が明かされるクライマックスには驚かされるし、切ない後味。マイケルを演じるグザヴィエ・ドランの挑発的なダークピエロさ、報われない思いに苦しむ切なさを含めて熱演していて、グザヴィエ・ドランの演技をもっと見たいと思える傑作サスペンス映画です。
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