エソラゴト

エレファント・ソングのエソラゴトのレビュー・感想・評価

エレファント・ソング(2014年製作の映画)
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閉ざされた空間の会話劇は観ていて本当に疲れる…。こと今作のような心理サスペンスものは登場人物の一語一句を漏らさず、集中力途切れさせずに観なければならないので尚の事。その点でも今作の上映時間100分は丁度良い長さなのかもしれない。

グザヴィエ・ドラン扮する青年マイケルは掴みどころのないキャラクター故に口に出る言動もひょっとしたら全部真実かもしれないし、全部嘘かもしれない…言葉の裏にある真意を読み取ろうにも絶えずそういった疑心暗鬼が付き纏う。

グリーン医師のみならず観ている我々もマイケルに翻弄され、自身のペースに引き摺り込まれてしまう展開には固唾を飲んで入り込んでしまった。

グザヴィエ・ドランのオーバーアクト気味な「動」とブルース・グリーンウッドの落ち着いた「静」のコントラストが絶妙なバランスを保ち、そんな2人をよく知る師長役のキャサリン・キーナーや現妻のキャリー=アン・モスの危うい不安定さがスパイスとなっていたのも緊張感の持続に一役買っていたような気がする。

結末は全て計算尽くなのか、衝動的な行動なのか…?張り巡らせれた伏線をもう一度手繰り寄せなければ答えに導けそうにもない。