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エレファント・ソングのmのレビュー・感想・評価

エレファント・ソング(2014年製作の映画)
3.5
家庭環境、そして愛について語られる作品。
とりあえずドランの演技力が凄まじい。

新進気鋭の監督、グザヴィエ・ドランが「これは僕だ」と出演を希望した今作。
彼の作品を観ている人間たちは、彼が今作に出たがった理由が分かるだろう。

少しだけ話しが逸れるが、最近新たな派閥にいる精神科医の話を聞く機会があった。
その方が言うには、子供の成長過程において母親の存在は絶対らしい。
母親が干渉しないのも、過干渉なのも子供の人生に影響を与える。
(父親の存在はそこまで影響を与えないらしい)
子供の人生は全て母親の責任らしい。
私はこの方の話は極論だと思い、知識として受け止め頭の片隅に置いておくが、あまり信じてはいない。
というより、全て女のせいにすんな、と思った笑

だが、今作強ち間違いではないのかとも思ってしまった。(ドランの映画はそれを強く感じさせる)
グザヴィエ・ドランさん演じたマイケルの中で、母親の存在は大きいものだった。
父親との話も出てくるがそれは一種のPTSDに近しい。
彼の人生において多大なる影響を与えたのは、母親。
母親から教わった象の歌を傍らで歌うのは、子供ながらに復讐したかったのだろうか?
または死にゆく母親への子供ながらの愛情がそうしたのだろうか?
どちらにしてもマイケルを形成した瞬間。

グザヴィエ・ドランさんの演技力が半端ない。
監督としても俳優としても最高、というのはなんだかもうやるせない笑
ドラン強いわー…。
トイレのシーンなんて、「やだ、ドランとカメラ越しに目があった、イケメン」なんて呑気に思っていたら、そこからの哀しみの瞳。
嬉々としてドランのトイレシーンを盗み見ていたのに、急展開でマイケルの孤独に触れ、涙腺崩壊。
飄々と心理戦を繰り広げていたのに、なんなんだよ…!
ズルいわ……。

マイケルが誰も傷つけなかったのが印象的。
ただひたすらに自分を見つめて自分と語り、愛されたかった。
グリーン院長は悲しい感情を持ったが、それを自身の人生に役立てようとしている。

マイケルがカルテを見ないで、という気持ちには正直共感した。
カルテはラベルだ。

ストーリー : ★★★☆☆
映像 : ★★★☆☆
設定 : ★★★★☆
キャスト: ★★★★☆(ドランに)
メッセージ性 : ☆☆☆☆☆
感情移入・共感 : ★★★☆☆

cc/今も耳に残るのは、あの日のママの歌声
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