低体温な作品だった。性と暴力の本編の中に元気そうな場面なんてあんまないし、主人公のイクオも肝心なソープの場面の表情だって悦楽なんて欠片も感じない。
救済を求めて人肌に触れて熱をもらっても、泡を身体にねっとりとまとわりついても表面こそ汚れは落ちるが、結局のところは完全に綺麗に落ちることはない。
ただそれに含めて度々映る空や街のロケーション描写のか台詞描写まで、本作の空気感を存分に滲み出る。
それに本作は何よりもイクオの心情を移しているからこそ本作の低体温さが伝わってくる。
しかしピンク映画なのでソープを始めとしてやはり泡踊りなどが印象が強いが実用性はあまりない。それどころかピンク描写を作品の雰囲気が食ってるのは流石ピンク四天王の一人というか。
そしてラストのイクオに虚しさ何とも言えなくなる。
ただ鳥は空を飛び立つけれども、人間の身では当たり前だが空は飛べずに地べたに倒れるしかない。
