面白かった。スペインのアカデミー賞的なゴヤ賞で16部門ノミネート、4部門受賞というのも頷ける。
序盤はスペイン映画的なよく喋る若者達のシーンなどで、ちょっと冗長な感じでダレる感はあるが、そこでそれぞれの人物・背景がしっかり描かれてたのが中盤以降での感情移入を高めてる。正義感に突き動かされて悪を追う側と、悪が日常にあるジブラルタルという特殊な土地の若者のストーリーが、麻薬取引によって一つに絡んでいく。準主人公？の刑事と相棒の信頼関係、主人公？の若者と恋人との関係なども丁寧に描いていて、意外な展開を挟みつつ、でも結局誰か死んじゃうんじゃないのかなあと不安を抱かせながら盛り上がっていく。でも結局（いい人は）誰も死なない（誰も殺さない）。こういうところはスペイン映画の良さなんじゃないかと思う。イギリス映画なら主人公どっちも死んでたかもしれん笑
ラストは、刑事がライフワークの様に追っていた「イギリス人」とて、結局末端の悪人でしかなく、より巨悪が存在するのだというやるせない現実を突きつけて終わるのも感慨深い。ハッピーエンドながらも、ハリウッド的お花畑エンディングで終わらないのがよい。
妙に評価低いけど、コメント観るとハリウッド映画的展開やテンポがテンプレートの様に求められてて、そこから外れてるから受け入れられてないんだろうと思った。勘違いを誘う邦題やパッケージデザインで釣られた人の怨み節もあるんだろうが、ハリウッド的な映画ばかりじゃつまんないし、せっかく他の国の映画見るんだから、スペイン映画という時点で頭切り替えて、なじみのない国への海外旅行を楽しむように観るべきだと思う。そうでないならハリウッド映画以外は観ないほうがいい。
一方で確かに邦題は糞。本国で高評価得たいい映画なんだから、自信持って率直にプロモーションすれば良かったのに…
