ストレンジラヴ

くもとちゅうりっぷのストレンジラヴのレビュー・感想・評価

くもとちゅうりっぷ(1943年製作の映画)
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「てんてん てんとう虫 お天道様の子 お花をのぞいておはようさん 葉っぱに座ってこんにちは」

U-NEXTでたまたま発見して鑑賞。
本当に戦時中か?しかも1943年だと山本五十六が戦死し、学徒出陣が最初に行われた年にあたる。
つまり日本はじわりじわりと追い詰められていた。欧米諸国の物量に押され、絶対国防圏の制定を余儀なくされるくらいヤバい時期だ。
そのような状況下にも関わらず、本作は悲壮感を微塵も感じさせない。
状況を鑑みるに、本来観るべき層は絶対に観ることができなかっただろうから、純粋に国産のアニメーションが作れないかという実験的な作品だったのだろう。
残念ながら、尺ではディズニーに勝てない。だが、作画と演出にかけては、後のアニメ大国ニッポンを予感させる。
本作は戦時下もあって、1館のみの限定上映がされたようだ。だが場所については大阪説と明石説で論争がある。
ただ、恐らくは明石であったろうと思う。同じ日に同じ明石で本作を観たと主張する人間が少なくとも2人いるからだ。その2人とは、後に日本の漫画とアニメーションを牽引することになる手塚治虫と松本零士その人であった。