ななみん

北の国から'92巣立ちのななみんのネタバレレビュー・内容・結末

北の国から'92巣立ち(1992年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「巣立ち」から前編後編と分けられ、すごく長くなります。
ただ、それがとても嬉しいです。

巣立ちで1番好きなシーンは、正吉が数年ぶりに富良野へ帰ってきて、五郎さんと2人で酒を交わすシーンです。本当は螢も来るはずでしたが、呆気なく恋人の方へ行ってしまい2人きりで麓郷の家へ帰ります。とりあえず飲もう!と、家中酒を探し回る五郎さんに「酒ならありますよ!おじさんと飲もうと思って」と酒を掲げる正吉。べろべろに酔っ払う五郎さんですが、「金です」とお金の入った封筒を差し出された瞬間に一気に素に戻る。「あげるんじゃないです、返すんです。おじさんには沢山迷惑かけました。これから少しずつ返していきます。何も言わないで受け取ってください。俺もおじさんの息子だと思ってますから」と言うシーンが本当に大好きで何度観ても泣けます。自衛隊として働き、一生懸命働いて稼いだお金。2万円。正吉にとっては大きくて大切な2万円札。本当に真っ直ぐ、好青年になった正吉。すごく嬉しかったし、男らしさに感動しました。

一方で、もう1人の息子は……。
東京で大変な事が起きましたね。(後編)

可愛い珠子ちゃんを妊娠させてしまう。
珠子の叔父に、殴られ親の連絡先を書けと怒鳴られるも、「父さんにだけは言わないでください」「僕が悪いんです父さんは何も関係ないんです」と泣く純。
後日五郎さんが、東京に住む純の元へスーツ姿で来た。とてもニコニコ笑顔で。その後ラーメン屋で、「しょうがないんだぁ、2人で謝ろう、謝っちゃおうっ」ととにかく優しく、純を優しく励ます。

2人で珠子の叔父家へ謝りに。「あんたの娘も同じ目に遭ったらどう思う」「誠意ってなんだね」と言われ頭が上がらない、固まってしまう五郎さん。すぐに吹っ飛んでいき、大切に育てたカボチャを富良野から持ってきた。頭を床に擦り付け必死に謝った。それが五郎さんに出来る精一杯の誠意ではありましたが……、螢がもし同じような事を赤の知らない男にされたと思うと、とこちらまで凄く考えさせられ胸が痛みました。
純のアフレコでも、「傷付いていた。父さんが僕を怒らないからだ。」という言葉にも涙が流れます。「初めて飛行機で会いに来てくれ、どうやってその金を用意したのか、ボロボロなスーツで貧しかった…どうか僕を叱ってください…」と語る純。五郎さんが持ってきたカボチャを、家で1人抱えて泣く。本当に親は偉大です。それに気づいた瞬間ボロボロに泣けます。親は凄いんです…。
改めて、子は親にどれだけ感謝しなきゃ行けないのかを本当に巣立ちで痛感しました。

その後、大晦日にやっと黒板家、久しぶりに家族3人集まれるとなったものの……
駅で会ってすぐに、話がある。今すぐ話があると、家ではなく、皆で喫茶店へ。螢の恋人も一緒に。
螢が「札幌に行くの。全て決まったの。春から行くの。富良野を出るの」と一方的に五郎さんに語るシーンが凄く辛かった……。春から富良野へ帰ってきてくれると、毎日カレンダーを見て、ただそれだけを楽しみにしていた五郎さん。五郎さんが手配してくれていた医院で勤め出すと信じていた五郎さん、まさか勇次(螢の恋人)が紹介した方へ、しかも札幌へ行ってしまうなんて……。螢の人生を思うとその道に進むのが1番良いのは分かるけれど、五郎さんを想うと…寂しくて悲しくて苦しかったです。

その後も、螢は、勇次の方のご実家へ行ってしまう。純が連れ戻しに迎えに行くと、勇次のご実家の方で楽しそうに笑っている姿が窓から見えるのも悲しかった。

私も、早くから実家を出ました。父からすると、自分の知らない所へ自分から離れた場所へ行ってしまうのはすごく辛いことだったのかな…と少し考えさせられ胸が苦しくなりました。

螢を連れ戻し、純と2人で実家へ帰るものの、五郎さんが……。2人をお風呂に入れてやろうとしていた所、怪我をして動けなくなり生死を彷徨いました。亡くなった妻、令子も出てきて「あなたはまだダメ」と止めてくれるシーンも涙しました。五郎さんは令子のおかげで、そして自分の力で、生き抜いてくれました…。

本当に波瀾万丈な日々で、でも、どの家庭にも起きそうなことが沢山で……

北の国からは本当に、私の中で一生大好きで大切な作品です。
ななみん

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