カミキハラ

北の国から'98時代のカミキハラのレビュー・感想・評価

北の国から'98時代(1998年製作の映画)
4.6
シリーズで最も長尺な作品だというのに内容が濃くずっと目が離せなかったこともあり、すぐに過ぎてしまった310分。

なにより今作で1番心に残ったのは、正吉の覚悟を決めた選択。
正吉、いくらなんでも男すぎるよ。そりゃ蛍も惚れるわ。
そして、あえて真実を聞かなかった五郎と純。
前作のテーマの1つでもあった、あえて触れない優しさを今作にて改めて感じた。

草太兄ちゃんはいくらなんでも急すぎるよ。
不器用で理解されないことをわかりながらも、最後まで自分の信じた道を突き進むまさにカッコ良い男だった。
今にして思えばシリーズを通して純と蛍の本当に大事な時には絶対に一緒にいて道を示してくれていた。
ガサツで口も軽くて、でも自分の気持ちに真っすぐで何より優しすぎる、そんな草太兄ちゃんに本物の兄貴像を見た気がする。

そして、正吉と蛍との結婚を認めた後の五郎の涙。
嬉しいよな。
こんな嬉しいことはないよな。
今シリーズの観るたびに思うけど長い時間軸で登場人物を観ていく為その成長を直に感じ、あたかも自分も家族の一員になったような錯覚を起こしてしまうほど感情移入をしてしまう。

前作の『秘密』は蛍とシュウという女性にスポットを当てた作品であったが、今作『時代』では正吉、草太、そして五郎にスポットを当て、男としてのカッコ良さや父親の強さと弱さをリアルに、そして優しく描いていた。