カミキハラ

北の国から 2002遺言のカミキハラのレビュー・感想・評価

北の国から 2002遺言(2002年製作の映画)
4.0
まさに素敵なハッピーエンドを迎えた映画のエンドロールのような作品。

前作『時代』の終わり方が流麗すぎて、今作『遺言』ではどんな展開が待ち受けているのだろうと不吉なタイトルのせいもあり身構えて鑑賞し始めたが、いい意味で肩透かしを喰らった。
やはりあくまで前作が今シリーズのクライマックスであったのだと実感。
今まで同様、観ていて辛くなってしまうシーンもあったがこれまでと比べるとポップなシーンの方が多く観やすい作品となっていた。
心にずっしりとくるものは少なくなり、21年に渡るシリーズの最後にふさわしい清々しい素敵なラストであった。
ただ、なんだかんだで目頭が熱くなってしまうのは長い時間軸で全員の成長や変化を共に辿ったからなのであろう。

そして今シリーズにサブタイトルをつけるなら間違いなく、純の成長物語。
そしてそんな純に自身も共感できることが多く、今作冒頭に純が語った「30を超えて家庭を持ちたいと思うようになった」という言葉は、現在同じ年齢ということもあってか今作での純は今まで以上の共感を持って観ていた。
父親に対して抱いていたコンプレックス。
それが尊敬へと変わっていくだよな。
そう、歳を重ねるにつれて変わっていくんだよな。
子どもの時にはわからないよ。
表面上のものしか理解できないよ。
自身のもやもやの原因を全て教えてもらった気がした。
そして、そんな父親になりたいと思えた。


今シリーズ全てを通して感じたことは、まさに『感謝』。
自身の生き方を見直すきっかけをもらい家族の大切さを改めて教えてくれた、本当に出会えて良かった素晴らしい作品。