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ズートピアのrensaurusのレビュー・感想・評価

ズートピア(2016年製作の映画)
4.2
偏見や差別を真っ向から扱った作品。多様性を認める上で避けては通れない問題であり、とてもセンシティブだが、動物をモチーフとすることで見事にやり抜いた。「なりたいものになれる」と言われるズートピアは、多種多様な動物が形成する都会であり、表層的には幻想郷だと思われているが、その裏には根深い差別と偏見に塗れており、現実世界の都会そのものである。

シンプソンズの監督としても知られるリッチ・ムーアが『シュガーラッシュ』に続いて監督し、らしいブラックジョークや小ネタが至る所に散りばめられている。

草食動物と肉食動物を被害側と加害側に明確に分けるのではなく、被害者と加害者が逆転することや、平等に接しているつもりでも拭うことができない疑念や畏れなど、複雑な差別の実態をよく描けていると思った。

ジュディとニックのバディものとしても優秀で、正義感と行動力が取り柄で何がなんでも諦めない優等生のジュディと、詐欺師であることを生かした人脈と柔軟な発想や、情報収集と鋭い観察眼が持ち味のニックのコンビは、補完性を取りながら協力し、事件を解決に導く。

とにかく様々な観点からも完成度が高い作品だった。
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