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ズートピアのumihayatoのレビュー・感想・評価

ズートピア(2016年製作の映画)
5.0
「草食動物は差別されてるマイノリティのメタファーで、肉食動物はマジョリティのメタファーで、、、」と見てた公開当時の俺、見事に製作陣の思う壺になっていた。

偏見と思い込みによって発生する"無意識のバイアス"にまんまとハマる。
しかも捻じ曲げられた歴史(昔、肉食動物は凶暴で〜)によって"無意識のバイアス"に支配されている『純真』なジュディが主人公である。
主人公という事は、かなり大勢の人がジュディへの共感をするだろうと言う確信のもとに作られているはずなので、製作陣のこの問題への自覚は恐ろしく高く、その視座は恐ろしく広い。

今作がトランプ就任の前に作られている事も、かなり興味深い。
何故ならトランプ支持者達も今作の副市長と同じく『マイノリティを恐れる態度によって、権力の座を維持するマジョリティ』だからだ。
上記の様な態度を、対テロにせよ中東にせよアメリカは取って来た様に見えるし、それは決して"トランプが始めたわけではない"事が改めて分かる。

その風潮はコロナ禍を経て見事日本でも蔓延した。
ジェンダー、人種、職業、年齢。
どの差別の歴史を見ても『マイノリティを恐れる態度によって、権力の座を維持するマジョリティ』の姿を大量に見ることが出来る。

まさに今見るべき作品。
「犯人が誰か」だけじゃなく、鑑賞者自身の無意識のバイアスがひっくり返されるドンデンだと言う事に気づいた人から、今の社会を強く超えられる思考を持つ事ができる様になると思う。
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