まつむらはるか

ズートピアのまつむらはるかのレビュー・感想・評価

ズートピア(2016年製作の映画)
4.8
これ以上に誰とでも観れて、誰とでも熱く話せる映画があったらぜひ教えてください。

biasという重いテーマを扱いながらも、いわゆるデートムービーとして扱われる側面もあるくらいエンタメ要素、ストーリーの面白さ、キャラクターのかわいらしさが際立ち、オマージュに溢れていてキャラ設定もとてもいいと思った。1つの作品にこれだけ詰め込んで破綻していないということが考えられないし、こんなスケールのでかい世界の、こんなにターゲット層の広いを作り上げてしまう製作陣、ディズニーって本当にすごいんだな・・・と思った。
映像もひとつひとつのシーンに「ここまで作る?!?」という執念を感じただただ脱帽。特に上京のシーンは共感しまくりで大好き。


種の偏見やハンディを乗り越えようとする姿勢は凄まじいものがあると思うし、もちろんこの映画ではどうしても設定上、動物のユートピアを描ききれない部分があるという指摘もわかるが、例えば
「肉食の動物達は何を食べているのか?」
(→動物のように発達していない魚や虫、植物性タンパクを食べているとのこと)、
「なぜ爬虫類や昆虫などの生物が出てこないのか?」
(→あくまで動物達の国であり、他にも爬虫類や昆虫などの生物の国があるかもしれないとのこと。)

これらは、「90%が草食動物で肉食動物は10%しかいないというマジョリティ・マイノリティの中で偏見biasを描く」という主題がぼやけたり世界観が混乱するのを防ぐため、あえて設定にはでてこないと思われる。うーん、調べて割とすっきりした!


個人的に初期の、ニックが主人公だったときのプロットが闇だらけ設定(肉食動物は感情が高ぶると電気ショックが流れる、いわば孫悟空の緊箍児のような役割の首輪がつけられることで草食動物と対等に暮らすことができる、など)でそれも見てみたい気もするんだけど、やっぱりそれを観ると本編の作りがいかに希望あるものかわかる。
今の時代らしくも普遍的なテーマを取り上げていて、この映画を幼少期に見られる今の子供達はどんな考えを持っていくのだろう、と思った。